フランクミューラーで銀座で買物をする人の気持ちを感じる

住んでいる地域によって、価値観はかなりちがっています。特に地方から首都圏に行くと、その質にはかなりの違いがあると思います。都会に行くと、そこには人が多く、店もたくさんあり、情報もあふれています。逆に地方ではどうでしょう。これとは全く反対で、人口も少なく、もちろんそれにあっただけしか店はありません。そして情報も少なく、かなり限られてしまいます。

例えば、地方の高質スーパーが都会にお店を出すとします。銀座へ行くと、そこにはデパートや一流のお店が多くあり、買い物客としては多くの店、商品から選ぶことが出来ます。もちろん値段はそれなりに高くなります。人は安さに魅力を感じます。銀座のデパ地下で、確かに良い商品が多くあるかもしれませんが、値段が高いので、良いものが安くあれば買い物にくるだろう。そういうものを望んでいるにちがいないと思います。

確かにそれは言えると思いますが、そこに買い物に来る人たちの気持ちの中には、一流のお店で買い物をするというステータスや、ブランドとしての安心感、その人の収入から来る金銭感覚など、単純に物と値段という発想で無い価値が存在しています。やはりその土地に住んでいる人の、ライフスタイルがどうなっているかを知らなければ、本当のニーズにあった商売は出来ないでしょう。それも観察ではなく、実際に体験しなければ本当のことは理解できないと思います。


私も地方の出身ですので、ある日 銀座に行った時に感じました。そして、ここで買い物をしている人の気持ちを理解するには、自分で買い物をしてみないとわからないと思い、買い物をすることにしました。何を買おうかなと思いながら、食品はそこで生活をしていないから、本質は感じられないし、服を買うにしても、とりあえず必要でなかったり、また流行もあるので、高い買い物をしても無駄になる可能性もあるしということで、腕時計を買うことにしました。雑誌を見ていて、多くのブランド時計の中で、フランクミューラーが気に入っていたのですが、二百万前後するのが当たり前のブランドだったので、あこがれているだけでした。

まあ見るのはタダとも思い、フランクミューラーのブティックへ入ってみました。並んでいる時計を見ると、250万、300万、150万・・・と、高額のものばかりです。一番安いやつはどれくらいかなと思ってみているところに声をかけられました。「普段、気軽につけることの出来るものはいくらくらいからですか」と聞いてみると、「50万くらいからです。お出ししましょうか」と答えがあり、お願いしますということで奥へ案内されました。そして席についてコーヒーのサービスをしてもらいながら、5本時計を見せてもらいました。腕に当ててみたりしながら説明をしてもらい、気に入ったのでカサブランカという時計を買いました。その時に「割とあっさり決められますね」と言われたので、「他のお客さんは、もっと時間がかかるのですか」と聞き直してしまいました。


それでも実際にお店に入ってから出るまでに、楽に一時間はかかっていました。ただ時計を買うだけで1時間もと思いましたが、時計を買ったあとは、それをつけているときのことを考えたり、それによる満足感を想像していました。要は、単に時計という機能を買ったのではなく、そのブランドを身につける、そこから生まれる考え方、価値を手に入れたのです。そこからライフスタイルも変化するのだということを、改めて意識することが出来ました。頭で考えるのではなく、少しでも同じようなことを体験しなければ本質を理解できないと思います。

良いもの、価値、商品にあった安さ、値ごろを提供することは、非常に大切ですが、お店の位置、環境、アクセスなど、メインのお客様になってくれる人、なっている人が誰であるかということは、地に足が着いた商売をする上では、忘れてはならないことです。

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