価値の対象


私たちが通常、対象としているのは中流層です。上位の一握りではありません。また逆に、安さがメインの下の層でもありません。それぞれ、自分の位置している層でしか、価値をイメージできません。

自分にご褒美という人が多い現在、プレミアムという価値も、手が届かなかったり、特殊なものという状況ではありません。ちょっと背を伸ばせば手が届くという状況が、今の時代の価値だと思います。日常的に、上級志向はあり、豊かになっているのです。

昭和の時代を舞台にした映画などが注目されている今、その時代を見てみると、その時代はその時代で、テレビ、冷蔵庫、洗濯機と、当時は高価なものも、時の流れの中でどんどん浸透していき、当たり前になってしまいました。そして時間が経てば経つほど、それらの商品も進化していき、高級化してきました。機能の進化だけでなく、それを使うことによる便利さや、使う時の空間、使い勝手のイメージと、物という価値だけでなく、取り巻く全体としての豊かさが進化してきているのです。このようなことを背景に、プレミアムという価値も、多様化してきているのです。

レクサスに行くお客様は、決して高級車を買うのが当たり前の人たちではありません。カローラクラスを買っている人たちも多く来店されています。そのお客様に対して、レクサスの人たちは、メルセデスを買っている人たちと同じように対応してくれます。店構えからして、少し近づきがたいと感じる人が多いようですが、実際にショールームにいると、高級店という気持ちで見ていると、ちょっと雰囲気のちがう人が結構来店しています。

イタリアの高級車を売っているお店では、買うことのちょっと無理な人たちは、やはり近づきがたいし、お店の方でもあまり相手にしてくれないというような話も聞きます。東京モーターショーで、このブランドのブースは、この会社が運営していて、クルマはステージに置いてあり、一般の来場者は離れたところから見るだけです。2005年の開催の時、そのステージを子供が走ってきてクルマに近づき、ドアを開けて乗り込んで、ハンドルをぶんぶん動かしてから降りて、ドアをバンと閉めてまた走って行きました。その子は、そのディーラーのお客様の子供のようでした。特にブースの人も注意しません。すごいなとも思いましたが、見方を変えると、関係のない人にとっては普通でなくても、それが普通なのかもしれません。高級車であっても、別に壊したわけでも蹴ったわけでもなく、自分のお客様がショールームに来たのと同じようなものですから。

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2007年10月号

「モノ」ブランドから
「ヒト」ブランドをつくる
加藤夕紀子先生
(M&C研究所所長)との
特別対談

販売革新
2008年3月号

小売業を志す皆さんへ
一人一人のわが店の
お客さまの「満足」を
追求しよう

月刊マーチャンダイジング
2010年9月号

間違いだらけのポイント
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10の心得

月刊マーチャンダイジング
2011年11月号

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SM、CVSに負けない
Dg.S「フード」は
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