一顧客内シェアに注目

市場とか商圏とか、大きな規模で状況を判断するのではなく、今の時代は一人のお客様、一顧客内シェアというレベルで判断が求められているのだと思います。データ的に見ても、食品スーパーマーケットで一人が月に消費する金額を2万5千円とすると、世帯人口を2.5人として位置世帯あたり6万2千5百円になります。それではそのお店で100%買ってくれているお客様はいったいどれだけいるでしょう。カード会員が何万人いても、1日に来店される方は今一般的な大きさのお店で2千人前後でしょう。どのグルーピングで見ても、その数は一握りでしかありません。

お客様は色々です。一般の主婦の方、独身の方、飲食店などの商売をしていて仕入れをされている方など様々おられます。トップクラスの方は、やはり商売をされている方などになりますが、一般の主婦の方でもトップ10くらいに入ってくる本当のファン、信者といってもいいくらいの方もおられます。トップが月に20万円くらいとすると、デシルで見たときにデシル2のトップはいくらくらい買っているでしょう。なんとその10分の1の3万円を欠けるくらいになってしまいます。平均的世帯の6万2千5百円という金額からすると50%以下です。デシル3では2万円を欠けるくらいになり、デシル4では1万円強です。それ以降は1万円以下になることは明白です。上位30%のお客様は、ある程度安定ベースのお買い上げで、興味は十分に持ってくれています。

会員データをどれくらいあてになるデータであるかと、売上の会員比率にもよります。カードを導入してからの期間が長いと、お客様の支持が高いと、会員比率は80%以上になってきます。少なくとも半分以上、60%前後は必要です。低過ぎるとごく一部の傾向になってしまうので、全体というにはアバウトな感じになります。

80%以上の会員比率になると、非会員が会員のトップクラスと同じかそれ以上の買い上げをしている確率はかなり低くなっていると判断しても、全体に対しての影響力は少なく、まして少ないデータを大きく取り上げること自体、考え方として異常であると思います。普通に考えれば、買い上げが常に高いお客様が非会員であるということは、何か会員にならない特別な事情がある以外ないでしょう。

この数字は多少のちがいはあっても、だいたい同じような傾向、近い数字が入るのではないかと思います。大きく低い金額であるとすれば、それは求められているものとかけ離れている可能性も高いのではないかと思います。

平均世帯消費金額の25%は1万5千円。傾向としては、全てのお客様の25%くらいが、もっとお買い上げが高くなる可能性のあるお客様と見ることも出来ます。買い上げが低いお客様の中には、まだお店にきはじめてそれほど立っていない方も含まれています。もちろん全く無視するわけにもいきません。初めての方の中には、トップクラスのお客様になられる可能性は未知数です。

しかし事実上わかっていることは、使うことの出来る25%以上のお金を使ってくれている、興味、期待を持ってくれているお客様をもっと知り、その人たちを大事にしてもっと対応することが結果に繋がる確率が1番高そうだということです。このことは、言われれば頭でわかっていても、当たり前の事なので意外にやられないものです。では何をするのでしょう。今までやってきたことの繰り返ししかしないのが現場です。新しいことには、あまり積極的にならないのもまた人間です。現状を変えていくことが出来るのは、わかっているかどうかではなく、やるかやらないかです。同じことの繰り返しからは、大きな変化は生まれてきにくいものです。新しいことを考えて取組んでこなければ、今の文明、文化は存在しません。科学的に考えて、新しいことに取組んできたから技術も手法も進化してきたのです。

新しいことは、すぐに結果になるわけでもありません。でもそれを続けることにより、新しい物が生まれてくるのです。その経過の中に、結果を出そうとする取組み姿勢があり、それが企業の体質を作り、文化になり、結果を作り上げていくのです。

独身で会社勤めをしている人は、食事の買い物をするのに、やすいものを求めていくつかの店を買いまわるということをどれ位するでしょう。そんな余裕はあまり無いかもしれません。その人が使える金額が2万5千円とすると、あなたのお店を選んでくれているとするとデシル3に入っている可能性も高いはずです。実際にはどれくらいいるのでしょうか。もちろん独身の方になると、自炊をするよりも外食になる可能性も高くなります。でも掃除もすれば、生活消耗雑貨も必要です。お惣菜があればそれで済ましていることも多いでしょう。お金の使い方は一般家庭に比べるとちがうことは多いかもしれませんが、金額的に全くちがうとは言い切れません。

こうして見て見ると、トップクラスの状態がある程度お店の性格、傾向などを見ることが出来ます。安売りの値段が魅力なのか、商品の品質、味が魅力なのか、立地が有利なのかなど、基本ベースです。トップクラスにとって、メインとしてもらっている価値です。

安定した店作りを考えますと、やはり生活ベースがどの層が現状を作っているのか、そしてそれが本当に正しいのかの確認が必要です。立地によって、所得のちがいがあります。

また所得以外に、店を運営している人の生活感、お金の価値観なども客層のちがいに出てきます。価値観、それに対しての手法がちがえば結果には繋がりません。



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