五感を満足させる 特に音と匂いは大切

五感は、視覚、聴覚、触覚、味覚、臭覚です。これはそれぞれ関係があり、目で見たものは触ったり、臭いをかいだりという行動に移ります。触覚で触ったものは、味を見たり臭いをかいで確かめたりという行動に移ります。耳で聞いたもの(聴覚)は、触ったり見たりという行動に移ります。これらの関連を見ていきますと、聴覚は一番無くてはならないもので、これに代わるものはありません。また味覚は最終的な行動の結果としての感覚であり、味覚から始まるものは基本的にありません。

音(聴覚)は、自然に入ってきてしまうもので、基本的にはじめから拒絶は意識的にしなければ出来ません。買い物に行ったときに、そこにある音はどんな状態になっているでしょう。よくあるのは、安売り店では商品の価格の安さを強調するために、何がいくらになっているかということを連呼しています。まだ人が口で言っている場合は想いの表現として許せますが、エンドレステープで催眠学習のように、それも大声で『いらっしゃいませ、いらっしゃいませ。本日は○○として、○○がいくらとお買い得になっております。』と、一方的に押し付けてきます。人の声であっても、機械で再現されているものには感情がなく、誰もが不快になってしまう音です。売り手は自分の都合によってこのことを立派な手段としてやっていると思います。声として伝えるのであれば、ただ大声を上げるのではなく、対象になるお客様に向けて気持ちを伝えることがポイントです。

BGMとして流れている音楽も重要です。お客様がその空間をどんなイメージで捉えているかが大切です。イベントなどでそれに見合ったジャンルの音楽にするのも大切な空間作りになります。通常であれば居心地の良い空間とはどんなものであるかということをイメージして演出するべきです。昔は年末などはテンポの早い音楽をかけて、気持ちを高めるということもしましたが、今の時代は居心地に重点を置いた方が良いと思います。よく知られているポップスなど軽音楽系のCDや有線などを利用されているところが多いと思いますが、お客様の生活のテンポに合わせるのはよいですが、流行ものは新しいものをどんどん取り入れていかないと変化に欠けてしまいます。

ピアノというと高級感を感じますが、今の時代はピアノを習っているということはごく自然なことです。子供から大人まで、生活の中にピアノがあるのは珍しくありません。昔の感覚で営業をしていますと、自動演奏のピアノをBGMに使うということは高級感の演出であるとともに、設備自体にもかなりの投資をしなければならないもののように思われているようです。

でもピアノは一般的になっている時代です。実際には中古のピアノを買えば40万円前後で手に入れることは出来ます。お金がかかるとすればアンプとスピーカーは、非常放送用では音質が低すぎます。ある程度は考えなければなりません。それでも驚くほどの投資にはならないのではないでしょうか。音(聴覚)は、嫌でも耳に入ってきます。目に見えませんが、非常に重要な感覚です。

ピアノを使う時の注意としては、人によっては音感が鋭いということです。調律が狂ってくると、耳には非常に不快な空間になってしまいます。最低でも月に1回は調律が必要です。1日12時間前後は弾き続けられているピアノです。こんなに過酷に動いている状態は、普通あまりありません。本来であれば月に2回は必要性を感じます。また特殊なケースとしては、ミュージシャンの方などは、コードがちがうというだけでも苦情を言ってこられる方もおられました。目に見えないけど重要なことです。


今、世の中はどんどんロジカル(理論的)になってきています。ロジカルになってくると視覚はその判断の重要な部分になってきます。物や事は、事実を目で見てから信じることがセオリーでしょう。

嗅覚は本能に訴えかけます。売場でカラーコントロールもきれいに陳列されていると近づいて手に取ったりします。しかし嗅覚はそれ以上に本能に走ります。果物などは、目で見てきれいでフレッシュなものが理想的ですが、匂いのしない売場は視覚だけが頼りです。そこにその果物が熟した匂いがすると、過熟になって腐りが出ているものがあっても、意外にもその悪い商品をよけて自分が食べたいと思う、熟したものを見つける行動を取る人が少なくありません。そしてその見つけるという行動自体も満足に繋がるものになってしまうことがあります。最近は本能である嗅覚よりも、賞味期限という視覚の方が優先され、本来人が持っている防衛本能が薄れてきたりしています。

評価を下す最後として味覚があります。味覚もその人によって全くちがいます。全ての人が美味しいと同じ評価をすることもありません。味覚も本能に結びつきます。自分を満足させてくれる美味しさや、苦味など怪しいものを拒絶するなど、大事な感覚です。これもそれぞれの食べ物が持っている本来の美味しさがわからなくなってきているようにも見えます。

直接本能に結びつく聴覚、嗅覚、味覚については、目に見えるものではありません。この目には見えないものに注目して、お客様が本来人として持っている本能を満足させるという空間作りをすることが、忘れてはならない重要なポイントであると思います。

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